【日鉄高炉セメント(2)】新日鉄の製造社員から社長就任へ ボトムアップの組織改革

どういった経緯で、いま日鉄航路セメントさんの社長になられたのか、少し福田社長のご経歴をお聞かせください。
大学で材料工学を勉強していました。材料の知識というものを活かせる会社に入りたいなということで、
素材メーカーのトップ企業でもある新日鉄の門口を開いた。そこに入りました。
そこでは30年間、製造畑を永遠に見ました。
逆に製造しか知らない人間が、そこからグループ会社の方に出向で出てきて、今の会社に来たわけですね。
それが9年前ですね。
日鉄航路セメントという会社は、航路スラグを材料として使う。
私が日本製鉄にいたときには、航路スラグを作る部門にいたんですね。
それを製造する部門、用航路部門にいたんで、そこでの親和性はあったんですけれども、
作ることしか知らない中で、経営者としてどうこの会社を切り盛りしていくのかというのを考えたときには、
自分一人がいろいろと考えて独自的にやるのではなくて、
ここの会社にいる人たちの意見をまず聞こうというところからスタートした次第です。
製造は30年のご経験があったけれども、あるいは社長一人生みたいな。
そうですね、おっしゃる通りです。
すぐそういうスタンスで臨めたのか、何かちょっと…
いやもうすぐそういうスタンスで、もうそれしかないなと思って。
他の部門のこと、営業とか、いろんな他の…
営業も経理も研究開発も整備も何も知らない。品質も何も知らない。
セメントっていうのも、セメントは何となくわかりますけど、
その内容に関しても何も、もうずぶの素人ですから、そこからですね。
なるほど、もう来て早々にある意味、皆さんの社員さんの力を頼ろうと。
頼ろうと。
そういうスタンスで。
そういうスタンスですね。
社長とかトップっていうところで言うと、
ある意味で言うと自分自身のリーダーシップを発揮できるような立場かと思うんですけど、
そこに関しては結構スッと行けたんですか?それとも葛藤とかなかったんですか?
ないですね、何も。
自分がどうであるかって言えば、社員の人たちはこの会社がどうであるかっていうことですから、
この会社にとってやっぱりどういうふうにやるのがいいのかっていうのを考えたときには、
自分がそういうスタンスで会社の課題を抽出して、
それを自分の力だけでは解決できないところも皆さんの力を借りようというふうに思いました。
就任しまして、皆さんの力を頼ろうと。
どういったことから始められたんですか?
課題を一応、系統だって整理をしているんですけど、
その課題ごとに一個一個解決していこうと。
それをまとめていくうちに、それがリストになっていって、
それを今は夢リストって呼んでるんですけど、
例えば、本社の社屋がボロいと、何とかしてくれという意見がいろんな人から出ましたね。
60年たってたんですよね。
それを立て替えたいという意見や、あるいは社長はよく禁煙しろって言うけど、
禁煙したらご褒美があるんですか?みたいな、そういう意見とかですね。
もっと勉強しろって言うけど、勉強したら見返りがあるのか?みたいな。
そういうものに対して、会社として制度を設けよう。
例えば、禁煙だったらね、禁煙した人を処遇する。
これはできなくはないですよね。できなくはないけど、
じゃあタバコ吸ってない人どうするんだって、そもそも。
というのもあるじゃないですか。
なので、もっと健康という観点に焦点を当てて、
みんな会社の健康診断を受けてるんで、
健康診断の数値でもって、その数値が改善した人や、
非常に良い数値が維持できてる人っていうのを表彰しよう。
健康保障制度っていうんですけど、そういうのを作ったり、
あるいは資格を取るために勉強して資格を取りましたら、
その資格の難易度と会社にとっての必要性を掛け算で指数を作って、
その指数に応じて保障金を差し上げたり、
その勉強のために必要な講習会に行ったり、
教材を買ったりする費用は全部会社が負担しますよ、
みたいな制度を作りましたね。
なるほど。例えば、いろいろな会社さんによって、
健康経営推進でいろんな制度だったり、
もしくは資格支援みたいなところとかも、
ある意味会社側からの働きかけで、
結構やられてる企業さんもあると思うんですけど、
社長がやられてみたそういうボトムアップのアプローチというか、
そこは何かアプローチ的なところの効果っていうのは感じましたか?
いい制度で面白いねっていうふうに言ってくれて、
前向きに取り組んでくれてる人もいます。
でも全社員がそういうわけではないですね、残念ながら。
ただかなり前向きに捉えてくれてる人が多いと思いますね。
社員さんのそういった声をヒントに、
じゃあそのままそれやるってわけにも…
いかないので、どうやったらそれができるのかっていうのは、
そこは自分なりに考えたりします。
そういった制度って、例えば日本製鉄にはないんですよね。
あ、そうなんですね。
ないんで。
独自に?
ないんで、やっぱりこの会社に入って、
そういう制度があったらいいよなっていうふうに思って、
そこは独自設計をしましたね。
なるほど。
いわゆる社員さんの要望を聞いて、それを経営に生かす夢リスト。
はい。
それがまず一つされたこと。
はい。
他に社長になられてから取り組まれたことだったりとかありますでしょうか。
結構少ない人数の会社でね、
その中で俗人的に仕事をしてるっていうのがかなりあるんですよね。
俗人的に?
俗人的に。
もうこの仕事はこの人に任せる、この仕事はこの人に任せるみたいに、
仕事が人にひもついてるような。
ややもすると、ものすごく忙しい人とそうじゃない人が、
もう遠大その差があるっていう。
そんなに大きくない180人の会社なのに、
そんなにやっぱりバラついてたら、
やっぱり会社としてのアウトプットっていうのが出にくいし、
その人にもし何か、もしものことがあったときに、
経営そのものが揺らいでしまうってことになりかねない。
それじゃよくないんで、
もっと一人一人を育成して、
皆さんがいろいろできるようにしていくっていう、
その底上げをいかにしていくかっていうのが僕の課題だなと思って、
まずは若い人から始めようってことで、
航路塾っていう、
OJTではなくてOFJTですけどね、
そういう制度を始めました、2018年からです。
2018年から航路塾。
航路塾。
概要で言うとどういった…
航路塾って4つぐらいのアイテムがあって、
1つは読書をする、2つ目はリベートする、
3つ目は自分の業務の紹介する、
4つ目が医療士交流をするっていう、
4つあるんですけど、
それを入社1年目から3年目までの社員、
うちの会社で言うと約10人ぐらいがいるんですけど、
その会社の10人の方に集まってもらって、
1週間に1回から2週間に1回の頻度で、
読書プレゼンで言えば、
毎週本を1冊読んでもらって、
その内容を30秒で要約してもらうっていうのを、
繰り返し繰り返しやっています。
毎週10冊読んで10週間やるっていう、
そんなイメージなんですよね。
ちょっと厳しめのトレーニングではあるんですよ。
ですけど、みんな他もやるんで、
ちょっと自分もやられればって感じで、
同調圧力に負けてやってくれてます。
なるほど。
そのコール塾をやることによって、
社長として目指そうとしている、
どういうふうになってもらいたいのか?
自走する人間になってもらいたい。
会社がとか、上からとか、
そういうことではなくて、
自らが自分を成長させるために、
自分で燃えるような、
そういう人間になってもらいたい。
自分で考えて。
例えば、自分のことを言うのは、
口をはばったいですけど、
この会社に来て、
自分の力では、
いかんともしがたいなって言った時に、
社員の力を借りようっていうのは、
誰かに言われたから、
そういう発想が出てきたわけではないんですよね。
自分でそれも考えて、
やっぱりやってることなんです。
それが正解なのか不正解なのかは、
正直言って分かりませんけど、
でも自分はそういうやり方を取ろうって思った。
これも、誰に言われるでもなく、
そういうことを考えて実行できる人を、
一人でも多く育てたいなって思います。
ある意味、功労塾っていうのは、
専門知識とか、
自分の仕事に関するものを学ぶのではなくて、
もちろん、そういうことにも
学びの気づきを得てもらいたいんですけど、
それ以外に、一般常識として、
当然知っておくべきこと、
考えられる能力っていうのは、
身につけてもらいたいので。
自分の専門に限らずということですね。
限らず。
いろんなことに興味を持ってもらいたいということであります。
読書プレゼンはそうですし、
ディベートも時事ネタをベースにやりますので、
例えば今だったら、
アメリカの大統領選でトランプさんが勝つか、
ハリスさんが勝つかっていうのを
ディベートしてもらうとかですね。
そういったことを通じて、
アメリカの大統領選なんて対岸の出来事だというふうに思って、
あんまり皆さん普通は考えないけれども、
それは日本にどういう影響を及ぼすかっていうのも、
新聞を読んだり、
報道に関心を持つということに
つながるんじゃないかなと思っています。
強力なリーダーシップで引っ張るぞっていうよりは、
本当に皆さんに頑張っていただくみたいなところを
作ろうとされているのかなと思うんですが、
皆さんに力を発揮してもらうために、
経営者として大事だなと改めて感じていらっしゃる部分とか、
もし大切にしているお考えがあればお聞きしたいんですけれども。
人の話を聞くということと、
謙虚なことかな。
なるほど。
人の話を聞くことと謙虚なこと。
あと学び続けるということですかね。
経営者として僕は必要な要素なんではないかなというふうに思います。