ひたすら石を投げ続けた人類の歴史━【投石機】について

ねえねえパトラちゃん、私、強くなりたいの
急にどうしたのマリー?
少年漫画の第一話で、主人公がピンチを強キャラに助けてもらった時みたいなセリフを吐いちゃって
やっぱり、転生前の私は何でも人に任せっぱなしだったというか
いざという時に、自分の腕を頼りにできるに越したことはないかなって
なるほどね、心掛けとしてはありかもしれないわね
じゃ、ケンドウとか習ってみたら?
いや、ちょっと、手が豆だらけになっちゃいそうよね
貴婦人は手を剥きずのままにしておくのがステータスって言うし
なら、弓道かアーチャリーは?
いざって時に、手元に弓がないと戦えないでしょ?
さすがに弓の代わりになるものは持ち歩かないし
ボクシングは?
減量がちょっと
ね、パトラちゃん、何がいいかな?
石でも投げておきなさいな
そんな投げやりな
まあ、ちょっと冗談ぽく言ったけど
投石は古来より続く短かつとても有用な戦法と言えるのよ
え?ただの石でしょ?
それじゃ、今回はただの石投げ、されど石投げ、投石機のお話をしていこうかしら
よろしくお願いします
長い歴史の中で、人類は数多くの飛び道具を発明し、使用してきたわ
イメージしやすいところでは
投げやり、弓矢に始まり、クロスボウ、石弓、鉄砲、そして大砲と進化を続け
現代では大陸艦弾道ミサイルに至るまでね
飛び道具の進化たるや、恐ろしいもんだ
中世の騎士は剣や槍、斧やメイスなどといった様々な武器を使用したけど
一般に飛び道具は好まなかったわ
そういえば、騎士が弓矢っていうイメージはないね
弓とか石弓は、騎士身分じゃない一般の兵士の武器って感じだ
騎士が弓を嫌った理由はいろいろあるかもだけど
要するに、飛び道具は卑怯な武器という意識があったと言われるわね
ほう
まあ、騎士の勝手な自己満足といえばそれまでだけど
いかに、剣術や魔術の研鑽を積んだ無双の強者でも
農民兵の放った流れ矢の一つで、簡単に命を奪われたわ
それは、特別な地位にある戦士たる騎士にとって、とても腹立たしいものだったでしょうね
そっか、高貴な血を持って生まれ、戦闘技術を鍛えても
その武勇とは無関係なところでやられちゃうんじゃ、どうにもやりきれない思いはあるかもね
また、中世ヨーロッパでは、1139年のラペラの公会議において
クロスボウが非人道的兵器として、キリスト教徒同士の戦闘では使用が禁止されたこともあったわ
もっとも、本当にそれから使われなかったかというと、全然そんなことはないんだけど
ともあれ、飛び道具は、騎士の騎士たるゆえんを全否定してしまいかねない、忌まわしき武器だとみなされていたのでしょう
逆に言うと、いかに武器としての飛び道具が優れていたかということを示してるね
そうね、日本の平安時代なんかは、逆に武士にとっては弓矢がメインの武器だったりもしたしね
それにヨーロッパの騎士も、指揮下の兵には弓矢クロスボウを積極的に使わせたりもしたから
単に、自分がやられたらいいやってことだったのでしょう
で、そうした飛び道具の最古のものといえば
一般には、戦死時代に生み出された弓矢か、狩りに使った投げ槍をイメージするかもしれないけど
おそらく最初に使われた飛び道具こそ、石で間違いないでしょう
単に石を投げていたってこと?でもそんなの役に立つのかな
アルフレッド・ダブル・クロスビーは、最初期の人類であるアウストラロピテクスが
道具として加工した石器を使った形跡がないことに注目しているわ
石器を作っていないことに注目?作ったことじゃなくて?
そう。しかし、アウストラロピテクスの手や腕の骨格は
それまでの類人猿よりは明らかに現代人に近い特徴を持っていたの
つまり、手の親指は手のひらと向かい合う向きに動かせて
物を掴んだり握ったりするのに適している
それは、道具を使ったり作ったりするのと同様、物を投げるのに適しているというわ
でも、他の類人猿も物を投げたりはするんじゃない?
そうね。チンパンジーなんかも時に何かを投げることがあるわ
ただ、彼らが投げるときは大抵アンダースローで
遠くまで勢いよく狙い通りに投げる能力は私たち人間に比べてずっと低いわ
投げた物の速さはせいぜい時速30kmといったところみたい
うむ。大谷選手の時速160kmは行き過ぎにしても
20代の男性なら平均して時速90kmくらいで投げられるみたいよ
はえー、そうなんだ
人間は他の動物と比べて身体能力は随分低いと考えられがちだけど
実はいくつかは生物としても結出した能力を持っているわ
その一つが物を狙ったところに投げる盗的能力よ
あんまり意識したことないけど、物を投げるって難しいことなのかな
手に持った物の重さと大きさを確認し目標を定め
ちょうどそれに当たるであろうおおよその力を無意識に判断して
物を投げるという動作は思った以上に高度な技術みたいね
例えばウサギくらいの大きさの的を8m先に置いて
それに石を投げて当てるとする
うん
腕を振りかぶってタイミング良く手を離すことで
人は狙いを定めるけど
その的に当てるために適した手を離すタイミングはわずか1,000分の14秒
それより早く離しても遅く離しても石は的に当たらないわ
人間の感覚はそのタイミングを捉えることで
石を的に狙って投げることができるのよ
はえー
そういえば人型ロボットが段差を歩くだけでもシクハックしているのを見ると
人間の無意識の計算能力ってAIの日じゃないのかも
アウストラロピテクスは石を加工した石器を使っていたという証拠はないわ
せいぜい既にある手頃な石を何らかの形で使っていただろうと想像できるくらい
ただ現代人にも通じる器用な手や腕の構造を持っていたことを考えると
彼らの革新的な技術は投げることだったのかもしれないわ
現代の人たちから見ると石を投げるなんて何でもないことに思えるけど
そこそこの重さの石を勢いよくぶつけられれば
打撲や骨折、頭であれば気絶したり死ぬこともあるわ
野生の動物から見れば自分の角や爪が届かない遥か遠くから
集団で石をぶん投げてくる人間は相当な脅威と移ったことでしょう
投石を脅威に感じた相手は野生動物に限らないわ
15世紀の文明的なヨーロッパ人は侵入したカナリア諸島で
先住民から投石による抵抗に遭ったことを伝えているわ
いわく先住民のグアンチェ族は
キリスト教徒よりかなり巧みに石を使いこなし
彼らが投げる石はまるでクロスボウで板ボルトのように威力がある
とのこと
まさかの石を投げることがそんなに強力だったんだ
別の例では18世紀のフランスの探検隊はポリネシアのサモア諸島を探検したとき
トゥトゥイラ島の先住民に投石攻撃で歓迎されたわ
それは信じられないほど強くかつ手際よく
マスケット銃より属性に優れているという利点があったとのこと
これにより61人の部隊のうち12人が殺されたとのことよ
ひえ
これ以外にも投石がいかに強力な攻撃かということを示すエピソードはいくらでもあるわ
もちろん事前にしっかりと準備した弓隊や鉄砲隊と
正面からやり合うとなると話は別だけど
高度なテクノロジーや資金がなくても臨機応変に運用できるという点で
石はあらゆる場面で強力な武器になり得るわ
少なくとも弾丸の手に入りやすさは全然違うものね
そのうち弓という画期的な発明がなされた後も
石は手頃で簡易的な遠隔攻撃手段として重宝され続けるわ
弓矢とほぼ同時期に投石をより強力にするために使われるようになった道具がスリング
これは長い紐の真ん中に投石用の石を包むための部分を付けた簡易的な装置ね
真ん中に石を包んだら両方の端を掴んで頭上で勢いよく振り回す
遠心力を十分に効かせたところで紐の片側を離し勢いよく石を飛ばすというものよ
これはこれで訓練が必要そうだけど弓矢よりは運用が簡単そうだよね
製作に手間とコストがかかる弓と矢よりも簡便で威力も決して侮ることはできないわ
精密に狙うのは難しいだろうけど集団で範囲攻撃されたと考えると恐ろしいでしょう
また狙いをつけている間は両手が塞がって無防備になる弓矢と違い
投石戦士は半身を盾で防ぐこともできたわ
だから個体においては弓兵に対しては投石兵という運用がなされたとのことよ
なるほど貫通力のない石は盾があれば防げそうだけど弓を使う相手は盾は持てないしね
また旧約聖書に見られる巨人ゴリアテと羊飼いの少年ダビデの一騎打ちでダビデが使用した武器もスリングだったわ
お?後にイスラエル王になったダビデさん
ゴリアテに挑むダビデに主君サウルは鎧と剣を与えようとしたけど
ダビデは慣れていないからという理由で断り羊飼いの杖とスリングそして革で拾ったいい感じの石ごこだけで挑んだという
それで勝負は?
ダビデの投敵した石がゴリアテの額に命中勝敗が決したとのことね
はえーそのエピソードが事実か否かはわかんないにしても決して投石攻撃が軽んじられてはいないってことがわかるよね
古代ギリシアでも投石戦士は軍隊の中で重要なポジションを持っていたわ
ただしスリングはある意味でできた時からほぼ完成形つまりそれ以上進化する余地がなかったのに対し弓は小型か強力化などの改良が加えられていった
またスリングはその性質上狭い場所で使えない予備動作がどうしても目立つなど隠密行動に適さないという弱点もあったの
あそっか物陰に隠れてこっそり狙いをつけてタイミングよく打つみたいなことは弓矢ならではって感じか
こうしておそらく人類初の遠距離攻撃である石は主要な飛び道具の座を弓とかの地に開発されるクロスボウに当て渡すことになるわ
それでも今度は人間の知恵の結晶である機械により石はぶん投げられ続ける
人類が文字を覚え記録を残すようになる頃には人々の住む集落も大型化し居住地をぐるりと城壁が取り囲む都市と呼べるような規模に発展するわ
人々の争いが激しくなってきたことを表す証拠でもあるよね
その分壁に囲まれた都市は幾分安心できたのかもしれないけど
ただ防御と攻撃はいつもいたちごっこ
守りの技術が上がればそれを突き崩そうとする兵器の改良もまた進むものよ
そうして頑丈な壁を突破するための工場兵器も進化することになるわ
工場兵器を発展させたのはアッシリア人と言われているわね
もちろん城壁を攻撃するための道具を作ろうと最初に考えられたのはずっと昔だろうけど
以前お城の動画もやったけど剣とか槍とかを持ってたくさんの馬がいても
高い城壁を持った都市を攻めるなんてまあまあ無理ゲーだもんね
壁を突破するためには城壁の上まで到達する巨大なハシゴ
門を突き破るための波状錘といったシンプルな力押しの道具が最初に発展したけど
遠隔で攻撃するためのものに投石機があったわ
おお今回の主題となるものだ
武器と兵器に明確な違いはないと思うけど
人間が一人で手に持って運用するのを武器とすれば
大型の機械によって攻撃を行うものが兵器とするのがなんとなくしっくりくるわね
で投石機は石で攻撃を行う兵器だと
まあ本当に壁を破壊するほどの威力を初期の投石機が実現できたとは思えないわ
むしろ地面から城壁上の敵をもしくは城壁の上から包囲する敵を攻撃するための大型の大人飛び道具といった具合じゃないかしら
人相手がメインであっても素早く移動ができないこうした兵器は工場戦以外ではあまり適切に運用できなかったと言えるかもね
でその機械を使った投石機はいつ頃使われだしたの?
まあ例によってはっきりとした時期はわからないわ
木材や有機物で作られたこうした道具は後世まで残ることはほとんどないから
木材は再利用されちゃうしね
旧約聖書によると紀元前8世紀にユダ王国のオオウジアが大きな石を発射する機械を使ったとされるけどそれがどういうものだったかはよくわからないみたい
ただ各地で紀元前7から5世紀にかけて投石機とみられる記述が散見されるからおおよそその数百年の間に実用化されたとみていいんじゃないかしら
まあ人間が石を投げることが効果的だとわかっていればそれを機械でより強力にしようとする発想自体は驚くことじゃないかもね
カタパルトという言葉で投石機は表されるわ
広い意味では投石機全般を指すけど狭い意味では素材の反発力を利用して石を発射するタイプを言うわね
初期のカタパルトは伸長バネ式つまりおもちゃのパチンコや弓矢みたいに伸縮性のある素材に石を引っ掛けて後ろに引き反発力でバインと飛ばすタイプね
その点大きな弓矢ともいえる割下と構造的な区別は曖昧といえるわ
ふむ矢を飛ばすか丸っこい石を飛ばすかってところか
あれ?でもその時代にゴムは使用されてないよね伸縮性のあるものってなんだったの?
動物の剣がゴムに使われていたみたいよ
人間のアキレス剣とかもゴムのように伸び縮みしてしかも非常に強靭だしね
いえなんかグロテスクだ
まあ弓みたいに木材のしなりを利用した場合もあったでしょう
ただこうして作られた投石機の効果は限定的だったと思われるわ
実際超古代に投石機が非常な活躍をしたエピソードってあんまり見ないもの
まああくまで補助的な飛び道具ってとこか
パチンコや弓矢の延長のような伸長バネ式の投石機を使用していた古代ヨーロッパだけど
紀元前4世紀頃に画期的な発明がなされたわ
それがねじりバネ式カタパルトよ
ねじりバネ?
これも動物の剣などの反発力を利用するという点は同じだけど重要なのがこれにねじりの力を加えたこと
つまり?
えっとこれすごく説明しづらいというか中の人も原理を完全に理解しているかどうかいまいち信用ならないんだけど
伸縮性のある素材は引っ張って伸びるとその分勢いよく縮むわよね
うんその力を利用したのが伸長バネ式って話だったよね
その引っ張る方向を棒状のものに巻き付ける方向に応用したというか
巻き付ける回数が多いほど紐は長く引っ張られることになり巻かれたのと逆方向に戻ろうとする
ふんふん
このねじって巻き付ける力に歯車とインチを使うことで単にまっすぐ引っ張るよりもはるかに高い張力をかけるという設計ね
一定までギリギリと巻き上げたところで開放することでねじった紐が急激に元に戻ろうとする力で支柱を押し上げその勢いで大きな石などを放り投げるというものね
なんかわかったような気がする
話だけではこれが強力なのかどうかピンとこないけど
それまでの伸長バネ式だと1kgの石段を150m飛ばしていたのがねじりバネ式カタパルトは320mも飛ばせるようになったとか
はえー2倍以上も射程が伸びたんだ
このねじりバネを開発したのが非原前4世紀のマケドニアフィリッポス2世の知性カタとされているわ
おおアレクサンドロス大王のパパ気味だこの人もすごかったんだよね
この改良により造石機は頑強な城壁を破壊する用途にも使用されるようになったわ
もっともさすがに一撃では無理で重い石を使って壁の端のもろいところから狙って少しずつ崩していくという感じだったっぽいけど
そんな細かく狙えたのかな
彼の元で開発されたねじりバネ式の投石機同じくバリスタ大弓はこぞって各国が導入しギリシア人はモナンコンローマ人はオナゲルという和手を使用したわ
紀元500年から300年の間ローマ軍団はそれぞれ10台のオナゲルと55台のバリスタを配備していたとのこと
ローマの1個軍団はだいたい6000人だっけ兵士600人あたり投石機が1台か
しかしこのねじりバネ式カタパルト中世以降にどれほど活躍し続けたかは中の人はよくわかんなかったのよね
というより本や資料によって書いてあることが結構バラバラというか
そうなんだ
12世紀に新たな投石機が登場するまで主要な工場兵器であり続けたという記述もあればバネが金属製に変わるなどして進化していったという本も
と思えば6世紀以降ねじりバネ式の投石機への言及は全く残されておらずその後は次に話すマンゴネル献印式投石機にとって変わられたとも
うーんどういうことなんだろう
英語圏ではこの辺詳しく議論されているっぽくて記述はなくても使用されていた可能性は残るって人までいろんな意見があるみたいだけど
中の人に確かめる気力はないしまず結論は出ないだろうからとりあえずいろんな意見があるとだけ言っておくわ
逃げたな
ただこのねじりバネ式には大きな欠点があったのは間違いないわすなわち耐久性の低さよ
ほう
ゴムを強烈に引っ張って離してというのをイメージするとわかりやすいけどこうした仕様は繊維に多大なる負荷をかけるわ
つまり強靭な動物の剣とかも使ううちにたちまちボロボロになって使用不能になってしまうの
そしてそうした繊維を取る大型の虫などの動物はその損耗を補うほど大量に生まれてくるわけではないしね
ふむなるほどそういう問題もあって時代が進むとねじりバネ式の投石機は主流ではなくなっていくのか
しかしねじりバネ式の投石機がいつまで盛んに使われたか論争も12世紀頃までとなるわ
その時期には新たなそして最強の投石機であるトレビュシェットが登場することになるの
トレビュシェットは投石機の一種で戦術のカタパルトの中にまとめられることもあるけど
ここではバネ的な反発力を使ったカタパルトとは区別して扱うわで
はい
でさっきのカタパルトとはどう違うの?
トレビュシェットの特徴は伸縮と反発力を使うのではなくシーソーの原理を応用して物を飛ばすという仕組み
つまり視点から両側に出た棒の片方に石などの飛翔体を乗せ
反対の方をぐっと押し下げることでバインと飛ばすものよ
えらくシンプルなように思えるけど
そう実際この発想を採用した投石装置自体はねじりバネ式のカタパルトよりも早く登場しているわ
古代中国紀元前5世紀から4世紀頃にはマンゴネルと呼ばれる牽引式の投石機が使われたとされるわ
牽引式?
大きなシーソーみたいな装置に沢山のロープを付け反対側に石などの投石物を乗せ
大勢で一斉にロープを引っ張ることでテコの原理でミサイルを飛ばす機械よ
これは公術するトレビュシェットという投石機の原型ともいえる装置ね
そこまで威力は出なさそうだけど古代中国ってこういうカラクリを作る発想がすごいよね
こうした牽引式投石機は6世紀から7世紀にかけてビザンツ帝国、ベルシア、アラブ、アバールなどの多くの勢力に採用されたとのこと
原料の供給が不安定で数を揃えるのが難しいねじりバネ式投石機よりも木材とロープと人さえいれば動く牽引式を採用する方が多くなったという流れかしらね
ふむ、強力だけど貴重の一つの兵器よりそこそこの性能だけど簡単に作れて手に入りやすいものの方が実戦には役に立つってとこかな
そして正確な時期や地域はわかっていないけどおそらく12世紀前半までにイスラム勢力の考案によって大勢の人間がロープを引く代わりに重りを利用する方法が採用されたわ
それがカウンターウェイトトレビュセットね単にトレビュセットといえばこのタイプを指すことが多いわ
重り?なんか見た目はかっこいいけどどうやって使うのかいまいちイメージしにくいね
これは長いアームの先に投擲物を入れる袋をつけそこに石などの投げたいものを入れる発想自体は古代の投石戦士が使ったスリングと同じよ
あー人間が腕を振り回す代わりに長いアームがその役割をするのか
そして反対側についた大きな箱にはこれまた石などの重りを充填するわ
そしてアームをウィンチなどで引き下げその後リリースすることで石を前方に放り投げるというものね
へーどういう風に動くんだろ
それじゃ模型で見てみましょう
そんなのがあるんだ
まず通常は重りで垂直になっているアームをウィンチを使って引き下げるわ
この模型では車輪を回すことでアームにつながったロープを巻き上げる
まあ釣竿のリールと同じ仕組みね
あーハムスター的に人が入って歩いて回すやつだね
中世のクレーンとかにも使われていた機構だ
ちなみにこの模型のような車輪タイプは特に大きなトレビューセットで採用された方式で
一般的なものはレバーやハンドルで巻き上げ作業を行ったわ
十分に押し下げたところでアームをストッパーで固定しスリングに石を乗せる
巻き上げたロープは巻き戻して緩めるかウィンチとの接続を外すわ
ふんふん
そして準備ができたらストッパーを外し重りを落とすことで勢いよくアームが振り上げられ石を飛ばすというわけ
はえー
まあ詳しい作りとかメカニズムを語るとここでは長くなりすぎるから
詳細はニコニコチャンネルのモンドヒストリカの理究でやりましょう
このトレビューセットの威力はそれまでの投石機をはるかに上回っていたわ
イングランドのエドワード一世によって1304年に作られたウォーウルフと名付けられたトレビューセットは
15mのアームを持ち100kgの石炭を数百mも飛ばしたとか
もはや大砲みたいなもんだ
ある言い伝えによるとエドワード一世はこのウォーウルフの威力を試したいがために
敵のスコットランド人が籠るスターリング城の幸福の申し入れを無視したとも言われるわね
そんなゲームじゃないんだから
少なくとも初期の大砲よりトレビューセットが優れていた点の一つが命中精度の高さね
重りの重量と位置エネルギーという物理的にほぼ変動しない力を毎回再現できたから
重りの中身を出し入れすることで着弾位置を微調整できたのよ
なるほどミサイルになる石の大きさとかさえ揃えられれば数回調整すればほぼ狙ったところに当てられるようになるのか
そしてユーラシア大陸を接近したモンゴル人によってトレビューセットは中国にももたらされるわ
中国にも?
当初草原の民であったモンゴル人は工場戦が増えてたったという話も聞くけど
おそらく金王朝やホラズム朝と戦ううちに彼ら都市文明の持つ攻撃術を吸収したのでしょう
じゃイスラーム勢力との戦いの中でトレビューセットも手に入れたのかな
1273年クビライ率いるモンゴル軍は中国南部を支配していた南宗に攻め込んでいたわ
南宗の中央政府はモンゴルの猛攻に戦線強強としていたけど重要とし常用を守る余分艦は前線し敵を押しとどめる
彼はすでに5年もの間牢城して敵を防いでいたけど中央政府はろくな援軍もよこさず余分艦は孤立状態だったわ
どうして?
どうも当時中央政府を牛耳っていた有力な官僚は余分艦が先行を立て発言力を増すのを恐れてか彼を積極的に援護しようとはしなかったの
そんなこと言ってる場合じゃ
それでも龍は部下をよく励ましモンゴル軍のそれ以上の進出を許さなかった
はえー放置プレイされながらも忠実に国を守ってたんだ
そこでモンゴル軍は降着した戦況を打開すべく新兵器を導入するわ
それがペルシア語でバンジャニークと呼ばれたトレビュシェット
中国では開海砲あるいはこの常用の工房船で使われたことから常用砲とも呼ばれたわ
モンゴル軍はこれをもってまず川を挟んで常用城の対岸にある繁城の城壁を破壊占領
その後トレビュシェットを繁城内に持ち込み常用城に向けて石や爆弾を降らせ続けたわ
ひえ防御不能反撃も不能な大きな石が雨あられと
敵を防ぐ要たったかは冠水を超えて巨弾を降り注ぐ兵器など当時の南宗の人々には全くの想定外
石弾は次々に常用城の矢倉を破壊し城壁を投げ倒す
さすがの旅分館も成す術なく降伏を申し入れたの
よく頑張ったけど5年以上も手こずらせた末にようやく降伏した敵将なんてタダじゃ済まされなさそう
旅分館も覚悟していたことでしょう
しかしモンゴル軍の総司令クビライは彼らを処刑するどころか足掛け6年もの間牢状戦に耐えた旅分館とその部下たちを褒めたたえ
旅分館にはその地方全域の最高軍司令官である上官大都督の地位
部下にはクビライ直属軍を意味する自衛新軍の身分を与えた上その軍はこれまで通り世の指揮下にあることを認めたの
なんと処刑されるものだと思ってたら部隊も安堵されたりクルートされた上に外出してしちゃったと
旅分館とその部下たちはクビライの処遇に感激
と同時にこれまで自分たちの苦境を見殺しにするような態度を取って知らんぷりしていた南宗政府への激しい怒りが込み上げてくる
あ
以後クビライこそ我が主軍と確信した旅分館は南宗攻撃の先鋒を申しでそこからモンゴルの大公正に南宗はついに崩れてクビライを皇帝とする元王朝が取って変わることになるわ
クビライが旅分館を許したのも作戦の一環ではあるんだろうけどね人の感情を汲み取ることがいかに大事というか
トレビュシェットはその威力ゆえユーラシア大陸全体に広く普及したわ
さまざまな状況に合わせて簡略化したいくつかのアシュも作られたり
とはいえ単純な仕掛けに見えて実際の製作や運用はかなりの技術を要したみたい
美容未満で作れるものではなかったのかな
先ほどのエドワード一世が作らせたゴールフは50人の大工と5人の食工長が必要だったとか
食工長つまり指揮者が5人も必要ってことは部分ごとに異なる専門家が複数必要だったってことなのかな
1521年にスペイン人のコルテスはアステカの都テノチティトランを攻めた際
火薬が足りなくなったために現地でトレビュシェットを作らせたけど
専門の技師がいなかったからか発射した弾は真上に飛んだ後にその場に落ちてきたから
コルテスはすぐにこのトレビュシェットを解体させたというわ
16世紀までは盛んに使用されたトレビュシェットも
14世紀に実用化された大砲の性能が上がるにつれやはり工場戦の主役の座を空け渡すことになったわ
その後の使用は稀になるけどトレビュシェットには大砲にはない利点があったの
というと?
発射時に被焼体に大きな衝撃が加わらないから
油の入った壺とか陶器製の爆弾みたいなのを飛ばすことができたこと
ああ大砲だと撃ち出す瞬間に壊れちゃうようなものでも投石機なら撃ち出せるってことか
ひどい例だと病気になった人や動物の死体を投げ込んで生物兵器にするといった使われ方もあるわね
えぐいけど戦争ってそういうものか
ごく最近ではイスラエル軍がトレビュシェットを使ってレバノン国境付近に燃える発射体を投げ込み
敵が隠れられる茂みを焼き払うという行動を取った例があるわ
また戦争での使用を別にしてもトレビュシェットの物理的なからくりは人々の興味を引くようで
海外のトレビュシェット界隈では巨大なトレビュシェットを作って自動車とかグランドピアノとかをぶん投げている映像がYouTubeで見られたりもするわ
何やってんだかわかんないけど大人がキャッキャして喜んでるのはいい光景かな
そんなこんなで投石機は現代の戦争の主力ではなくなっているけど
単純で壮大なからくり装置はいつも人々の心を魅了するものだということね
とまぁこれが投石機の歴史よ
たかが石を投げることといってもそれが人類の究極の武器だったのは長い歴史の中で真理だったんだな
そうね戦争というのはどんなに取り繕っても人を殺す行動だしその道具に嫌悪感を抱いてしまうのは仕方ないけど
武器や兵器といった道具は純粋な人間の知恵とか機能美の結晶だからね
それを魅力的に思えてしまう心もまた人間には備わっているのかも
中の人も戦争そのものにはあまり興味はないけど武器や兵器の構造を見るとよくできてはるなぁと感嘆せずにはいられないのよね
中の人トレビューシェットの模型を外で実験して撮影してたら通りがかった近所のおばちゃんにそれなにって言われてどう返答していいか困ってたね
そうね昔の戦争で使ってた兵器だよって答えたらなんかやべえ奴だと思われそうだし
おもちゃだよって答えたらいい年越えてなんかやべえ奴だと思われそうだし
こういう時のベストアンサー募集
というわけでご視聴ありがとうございましたまた次の動画でお会いしましょうバイバイ