#179 江戸切子職人 鍋谷海斗 | 明日への扉 by アットホーム

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【2024年10月放送】 #179 江戸切子職人 鍋谷海斗
http://athome-tobira.jp/story/179-nabetani-kaito.html
東京都大田区蒲田にある鍋谷グラス工芸社の四代目、鍋谷海斗さん。近年注目を集めている江戸切子の若手職人のひとり。今回、鍋谷さんが作るのは代表作と新作の2種類のロックグラス。その緻密な製作と美しさの秘密に追った。
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『明日への扉』は、CS「ディスカバリーチャンネル」にて毎月第3木曜日19:30〜20:00 放送しています。
http://athome-tobira.jp/
『明日への扉』
わが国が世界に誇る、固有の伝統・文化の数々…。
先人たちが築いてきた、その知恵や技を受け継ぐ若者たちがいる。
夢を追いかけ日々研鑽する彼らの「ひたむきで真摯な姿」と普段の暮らしから垣間見える“素顔”を紹介していきます。
制作著作: アットホームホールディングス株式会社
制作協力: 日企
http://www.athome-inc.jp/
アットホームプレゼンツ 明日への扉
繊細なカットがきらめきを放つ江戸切子
切子とカットガラスのこと
東京を代表する伝統工芸品だ
宝石のような輝きは職人の手仕事で生み出される
我が国最古のカットガラスは
奈良時代シルクロードで運ばれ
焼酎院に収められている
陳調されたガラスの歴史を物語る
江戸切子は江戸時代後期
日本橋のガラスどんや
香谷久米がガラスに彫刻をしたのが始まりとされる
その輝きはダイヤモンドに例えられ
黒舟で来航したペリーも
あまりの美しさに驚嘆したという記録が残されている
東京の空の玄関
羽田空港を有する大田区
昭和の風情へ漂う街 鎌田
ここに一軒の工房がある
ガラスをカットする音が工房に響く
江戸切子を牽引する一人 鍋谷淳一
仕上がったものが美しいというのが一番の魅力だと思っています
自分の想像よりもきれいになることも多いです
出来上がりがあんだけ美しいというのはありがたい仕事です
これまでにない独創的なデザイン
圧倒的な重厚感に豪快なカット
江戸切子の新たな時代の訪れを作品で証明した
さらに鋭い眼光の毛巾類
羽毛の質感まで見事に再現されている
その姿を後ろから見ると
レンズの効果を利用して群れが現れるという仕掛けが
やっぱり道具の進化が一番でかいと思うんですよ
前に出来なかった柄までも出来る
模様も当然進化はしてますね
その辺では日々形を変えていっているし
前にはなかったものが地上に出回っているというのも一つです
その輝きを継承し未来を照らす若者がいる
江戸切子職人 鍋谷海人 30歳
自分の思いとかを表現することができるので
グラスというものを通じて自分の思いとかが伝わるのは
江戸切子の一番の魅力だと思います
海人さんはもともと後を継ぐ気はなかったという
いつかそれが父への憧れに変わった
自分が小さい頃よくこの工場に来た時に
父もいてその背中をよく見ていたんですけど
その姿が今思い描いてすごくかっこよくて
形に残る仕事がしたいという思いがあって
それ以外考えられなかったので
大学卒業後2年間ガラスメーカーで研鑽を積み
24歳の時に父純一さんに弟子入り
4代目として腕を磨いている
やっと10年近くなってきたんで
少しずつは職人らしくなってきたのかなとは思ってますけど
まだまだ遠いような気がします
まだその時間の配分だったり手順だったり
まだ時間がかかっているところが正直あります
作業スピードっていうのがもう考えられないぐらい早くて
そこに追いつこう追いつこうってやるんですけど
どうしてもたどり着けてないなっていう思いがあって
勉強していかなきゃいけないなというふうに思いました
カイトさんの作品作りのこだわりは
自分にしかできない表現
デザインを探求し伝統の世界に新たな風を吹かせる
一点ものの作品も手がける
余すところなく入れられた数々のカット
江戸切子の新たな歴史をその手で切り開く
ガラスに自分の思いを込めているので
その思いっていうのをガラスに刻み込んでいる
それがカットするという行為だなというふうに思います
カイトさんの工房で使われるのは
高級ガラスの代名詞クリスタルガラス
クリスタルガラスっていうのは
光が入った時の屈折率が高いんですね
細かいカットが入れば入るほど煌びやかになる
カットする前のガラスは生地といい
無色透明なガラスに色ガラスがかぶせられている
表面の色ガラスを削ることで
無色透明のガラスが文様となって現れ
カットの技術で命が吹き込まれる
中には異なる色ガラスを左右に配色したものも
そこに散りばめた瞬く星と
伝統文様の銀河が広がる
グラスの中の小宇宙だ
今回カイトさんが作るのは
黒い生地に2枚の刃がデザインされ
それぞれを伝統文様が彩るロックグラス
自分が初めてデザインして作ったグラスになります
かっこいいものっていうのはとにかく作りたくて
色々試行錯誤して作ったデザインです
間違いなく自分の思いがこもった作品なので
表情を決めるカットの下準備
生地にカットの目安となる
割り出しという線を引く
複雑なデザインでもこれで十分
ガラスに命を吹き込むカット
使うのは高速で回転するダイヤモンド製の刃
口の厚みを整えると
目の粗い刃でざっくりとカットする荒釣り
カットを入れるのはグラスの外側
内側から透ける線を頼りに刃を押し当てる
ダイヤモンドホイールの芯に対して
垂直に動かしていかないといけない
曲線ですとしっかり回していかないときれいに入らなくなる
刃の輪郭の曲線に合わせてひねりを加える
例えるなら筆を固定したままキャンバスを動かして絵を描くようなもの
またカットに合わせて400枚の刃の中から
ベストなものを選択する
ダイヤモンドホイールの選択というので
クオリティとかが変わってきてしまうので
道具選び、ダイヤ選びというのも職人の技術の一つになっています
仕上げ用の目の細かい刃に変える
荒釣りの線は表面が荒れているため
再びなぞって滑らかに整える
丁寧な仕事が仕上がりを大きく左右する
小さな刃の輪郭はいきなりカット
一人前になるまで10年はかかるといわれるカットの技術
さらに生地の色が濃くなるほど難易度が上がるという
この下の方はどうしても色が濃いので
見にくいという状況で
4つのカットが一点で交わるようにしているので
本当に神経使うところですね
線が見えにくい状況で
2枚の刃の先端を合わせなければならない
難しいですね、やっぱり
微妙な力加減というか
動かしながら微調整しているという感じなんですけど
その微調整でうまくそこの一点に持っていくという
2枚の刃の先端が一点に
割り出しの線に見事に合っている
続いて伝統文様で彩りを
江戸の息を今に伝える伝統文様
その一つ一つに願いが込められている
細かいカットが魚の卵に見える七子
子孫繁栄の願いが
縁を重ねた七宝輪
縁満や繁栄を願う吉祥文
自分の中で江戸切子の象徴というか
伝統文様を一つ入れるだけで
グラス自体が華やかになるので
今回2つの伝統文様が
菊の花が連なる菊つなぎと
竹籠のような八角籠目
もちろん手作業で作っていくんですけど
さらにそこに思いが乗ることによって
温かさを感じるところにつながると思うので
まずは菊つなぎ
文様の骨格となる格子をカット
そこから線を結んでいくことで文様を生み出す
それをいかに輝かせるかが
職人の腕の見せどころだ
複雑な文様も始まりは一本の直線から
一本たりとも気を抜くことはない
線一本雑になってしまうと
見た目のクオリティに出てきてしまうので
一本一本集中してやっていかなきゃいけないところだと思っています
菊の花が連なる菊つなぎ
菊は不老長寿をもたらすと言われている
縦横斜めと交わる線の数は
8本
そのすべてが同じ深さで一点で交わるように
菊の中心というのはほんと繊細な深さで通らないと
形の悪い菊つなぎになってしまうので
力を抜きながら進行方向はぶれないように
っていうところがすごい気使うんですけど
コンマ数ミリのズレも許されない
神経を研ぎ澄ませ一本に集中
線が増えるにつれ輝きを纏う
カットに時間がかかるカイトさんは
父からこう教えられた
父に言われるのが実感をかけて
お前クオリティを下げてるんだぞっていうところがあって
ゆっくり進めばそれは接点あいやすいんですけど
カット面に段ができる
それもまたクオリティを下げる原因にもなってしまうので
ほんと繊細な仕事なんですけど
そういう勢いっていうのも結構大事なんだなっていうところは感じました
職人は短い時間でクオリティ高いものを作っていくか
っていうところもすごい言われて
そこは常日頃肝に銘じてるところで
繊細にして大胆に
短時間でいかに美しく仕上げるのか
そして最後の8本目
寸分の狂いもなく一点で交わる
夕日に咲き起こる菊の花が
万華鏡のように光を乱反射させる
続いて八角籠目
竹籠から生まれた文様で
間避けなどの意味が
直線に斜めの線を交差させる
四角から角をカットして八角形をつけるっていうところなので
左右のバランスだったり上下のバランスっていうのが
すごい大事になってきます
整然と並ぶ八角形が光を八方に放つ
2枚の葉を彩る伝統文様
グラスが一層華やかになった
仕上げに施すのは底のカット
厚みのあるガラスを豪快に削る
これが後に大きな効果をもたらすという
一つのグラスとしての美しさっていうのを
底の文様が入るだけですごい出てくるので
全てのカットを終えると磨きを行う
磨きを終えると虹色の輝きをまとった
凛とした佇まい
伝統文様に光が降り注ぐ
光とガラスが戯れる光の芸術品だ
内側に目をやると優美な世界が広がる
磨かれた伝統の技に新たな風を吹かせた
江戸切子のいいところって
飲み物が入るだけでも表情がすごい変わるので
楽しみ方がその先にもあるんで
ぜひ使ってもらいたいと思います
東京六本木
美食家が足下通う活法迂回
四季折々の勢の極みを
五感で堪能できる美食の劇場だ
お好きなお茶粉を選びください
料理に合わせる日本酒は好みの江戸切子で
その中にカイトさんの食い飲みも
まず存在感
目を引くっていうところですとか
色見れしたり模様だったりカッティングだったり
その場を華やかにしてくれる
素敵なお茶粉だと思います
料理に彩りを添え
心地よく酔いしれる
この日カイトさんは
趣味の海釣りにやってきた
張り詰めた緊張から束の間解放される
そういう時間があることによって
その時間にデザイン考えてみたりとか
なんか新しいものが出てくるっていう時はありますね
自分のデザインとかって
結構自然から生まれるものが多くて
自分なりの表現っていうのを
見つけられればなっていうふうには思います
デザインのヒントはふとした瞬間に浮かぶという
自分の父なんかはタコとか釣った時に
海面からタコが浮かび上がる様子みたいなのを
なんか作品に入れたりとか
その作品がこちら
足の吸盤まで見事に再現されている
卓越した技術と遊び心が随所に
そんな父の存在をどう思うのか
やっぱりいつか父はこうやって見たいですけどね
自分の表現を持って
それが評価されれば嬉しいことなんで
父の背中に追いつくには技術を磨くしかない
休日の工房
新作に挑むカイトさんの姿が
デザインのアイデアは海から得たという
小さい時から海水浴行ったりとか
昔の思いっていうのがパッと出てきて
自分の中にある海の楽しさというか
ワクワク感を取り入れてみようというところがありました
カイトさんがこだわったのが曲線のカット
随所に入れた曲線で海のイメージを形に
潮の流れとか波の移ろいというか
下の方を太くして先端の方を細くすることで
奥行きというか距離感が結構長く見えるので
海の広大さというか
そういうところを表現してみました
波の曲線の間にカットを入れ
わずかに青を残す
こうすることで波にリズムをつけるという
対照的に青を太く残したところは
飛び込む魚の帯で
その瞬間水面に上がるスプラッシュ
光に反射する水しぶきのきらめきを
キクツナギで表現
潮風を感じるようにカットを刻む
キクツナギという文様が一番キラキラ見えるんですね
海ってキラキラして光っていると思うので
相性がいいというか
グラスとして見たときにきれいに映るように
こうしてまた一つ新たな江戸切子が誕生した
全体的に海の要素を取り入れられて
コンセプト的にもデザイン的にも
満足いく作品です
磨き上がったらすごい
海を見ているようなきれいな作品になるんじゃないかと思っています
海の思いが形に
波の揺らめきと魚が跳ねた水しぶきが
キラキラと輝く
グラスの中に広大な海の風景が広がる
しっかり思いを乗せた作品なので
自分の代表作になってくれればなと思っています
師匠である父に新作を見てもらった
厳しい眼差しに緊張感が漂う
海人さんの思いは届くのか
デザインは悪くないとは思う
いいんじゃないデザイン
ある程度の時間でできれば一番理想だねこれね
海のコンセプトは詰め込めたかなという作品
最初は厳しく評価しようと思っていたんですけど
デザイン的にはすごくいいですね
うまく曲線を融合させている
強弱もついている
無駄なカットがなくちゃんと色が語っている
残ったところが
そこの辺でポイントが高かったかな
点数で言うと合格点ですかね
自分の中の合格点というのは80点なんですけど
自分たちはその80点をいかに
81点、82点、83点するかっていう仕事をしているんですけど
自分の中では合格点の80点を超えているんじゃないかなと思います
素直に嬉しいですね
こういういいという評価をもらえたこと
今回海をテーマにしたということで
思い切って波の表すような曲線を使ってみて
それが評価されたっていうのは嬉しいです
意外と時間かかるんですよこれ
もう少し時間を省くように考えて
今のコンセプトを守って省くものを考えた方が
もっとよりいいものが多分できると思いますね
一番大事な技術っていうのが自分は時間だと思ってますね
自分の思いを詰め込んだ作品なので
その思いっていうのは崩さずに
時間のことを考えて効率よくデザインを変えていくことも大切なので
考えながら作品作りができればなと
ガラスに思いを刻む若者が
その手で開く明日への扉とは
まだ自分ができない表現だったり
見つけられていない表現っていうのが
まだまだあると思うんで
これからの作品作りの幅を広げられたらなと思います
父の背中を追いかけもっときらめく明日へ
その未来はダイヤモンドのように輝く
明日への扉を開けまた一歩夢に近づく
